2020年12月10日、河野行政改革担当大臣と小泉環境大臣は、来年度になる令和3年度に中央省庁で使用する電力のうち、3割以上を再生可能エネルギーとするよう呼びかけました。大臣の呼びかけってどのくらいの効力があるのかわかりませんが、わざわざ表明するからには3割なら支障なく変更できそうなのでおっしゃったのでしょう。ならば私たち個人も使用電力のうち3割を減らすか再生可能エネルギーに変えることはできないでしょうか?
再生可能エネルギーとは
太陽光や地中の熱など自然界の現象を利用して半永久的に使えるエネルギーのこと。石油や石炭由来のエネルギーは使い続ければやがて枯渇しますが、太陽光や地熱は地球が存在する限りなくなりません。しかも温暖化などを促進しないので再生可能エネルギーへのシフトが急がれています。
人類はもともと再生可能エネルギーと共に進化してきた
原始人が火をおこす、、、火打石を打ったり、木の棒をこすって摩擦熱で火をおこしたり。トム・ハンクスが無人島で生き延びる映画「キャスト・アウェイ」でも大変な苦労の末に火起こしに成功した時は島に流されて唯一喜んでたシーンとなりました。焚火をつくれてからはモノを焼いたり、暖を取ったり、灯りになったり、獣よけにも、助けを呼ぶことにもつながり(映画内ではつながらず)、火のエネルギー(恵み)が人間の暮らしを豊かに変えてきたことを改めて感じたシーンでした。
火起こしから始まり、これまで人類は地球の様々なリソースをうまく使ってよりよい暮らしを実現してきました。
例えば、「氷室」天然の氷を使ってモノを貯蔵、または氷自体を夏に楽しめるようになりましたし、冷蔵庫ができました。
他にも古代エジプトでは断熱効果のある壺を使って食品を保存していたり、壺についた水滴をうちわであおぐことで涼をとっていたそうです(この場合奴隷の労働エネルギーは換算されないのですが)。
他には水車小屋、風車小屋も再生可能エネルギー。
家畜のふんを燃料に使うことや温泉地の地熱で温泉卵をつくることも再生可能エネルギーの利用例です。
再生可能エネルギーの種類
主な自然界のエネルギー
- ☆地熱
- ☆水力(水を落下させて発電機を動かして利用)
- 太陽光・太陽熱
- 雪氷熱(現代の氷室)
- 風力
- バイオマス(ごみやおがくずなど不要になったモノを燃やして利用)
- 潮力★(潮の干満で流れる海水を利用)
- 波力発電★
- 海洋温度差発電★
☆は普及段階 ★は研究開発段階 無印は実用化段階だが経済性から普及はいまいち進んでないもの
太陽光発電のしくみ
シリコンで作られた半導体でN型半導体とP型半導体を重ねた構造になっている。光がNとPの境界線に当たるとNはマイナス電子を、Pはプラス電子を流すことで電気が発生する仕組み。できた電気をパワーコンディショナーへ流し、配電盤を通して家庭やオフィスで使われたり、使わない電力は蓄電池に充電するか、電力会社に販売される。
夜間は蓄電池の電気を利用し、蓄電分がなくなると電力会社からの電気を利用するしくみになっている。
【パワーコンディショナー】ソーラーパネルから流れてきた電気を直流から交流に変える役割。その後、変圧器を通して電圧が調整する。
風力発電のしくみ
羽(ブレード)を風の力で動かし、発電機を回すことで発電するのが風力発電です。オランダの風車小屋とエネルギーの発生の仕方は同じです。
風向きに応じてブレード向きを変えるヨー駆動制御、風速に応じてブレードの向きを変えるピッチ駆動制御このふたつの仕組みを備えているのが一般的で洋上と陸上に設置されています。
地熱発電のしくみ
地球内部の熱で温められた蒸気や熱水を地表に取り出して、分離し、集めた蒸気をタービンに送り、発電機を回して発電するしくみ。発電に利用できない熱水はすべて地中にもどしているそう。
大分県の八丁原発電所が日本最大の地熱発電所で地下760~3000mの地熱貯留層から蒸気と熱水を取り出しています。
ゼロ・エネルギーハウス
最新技術を使って省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせてエネルギー収支を自給自足する住宅のことをゼロ・エネルギー・ハウスといいます。
高断熱の窓や壁、ソーラーパネル、電気自動車、省エネルギーの照明、空調、給湯設備などで省エネかつ創エネすることで二酸化炭素排出量を抑えることにも貢献できる、新時代のコンセプトの住宅になります。
【ZEH-M】ゼッチ・マンション。エネルギーの自給自足ができるマンションのこと。
【ZEB】ゼロ・エネルギー・ビル。ひとつの建物のなかでエネルギーの収支をゼロにする施設のこと。災害の多い日本でオフィスビル、病院、ホテル、商業施設などにZEBを建設する計画が増えている。
┗【バーティカルフォレスト】マンションやビルの壁面に樹木を生い茂らせて二酸化炭素を酸素に変換させるしくみ
エネルギーフリー社会の未来
もしエネルギーが無料になったらどんな社会になるのでしょう?
送電装置が組み込まれた道路で電気自動車が走りながら充電できる未来、建物の中だけでエネルギーが収支するゼロウエイストな未来です。
大枠で言うと、エネルギー資源の獲得を巡って起こっていた戦争や紛争がなくなるといわれています。確かに古今東西の紛争にはいつも資源の取り合いがありました。電気をはじめとするエネルギーが地消地産されることで輸送コストに落ちるムダな財源も減らせます。
私たちは今、生活範囲を小さくせざるを得ない状況ですが、それは「縮小」ではなくより豊かに「奥に」進んでいるのかもしれません。
ないモノばかりに目を向けて、ないモノ(資源・エネルギー)ばかりを追い求める時代は終わりました。今あるモノで豊かに暮らすには?昔からあったモノを再利用してみてはどうだろう?
減らない資源があったことに気がつき、活用する時代の流れは再生可能エネルギーのことだけではないでしょう。
私たち、一人ひとりが自分に秘めいた魅力や価値を掘り返して活用する時代に入っています。私たちの生きるエネルギーだって命が尽きるまでは決して枯渇しないエネルギーです。私たちが自分でできることは自分でして、つまり自分で作って、自分で歩いて、そして自分の価値を最大限に生かせる道を探すこと・歩くことが再生可能エネルギー活用プロジェクトの最初の一歩だと思います。
SDGs Goal7:「エネルギーをみんなにそしてクリーン」
産み出しながら使い尽くさないように消費する。再生可能エネルギーにはSDGsの目標達成にも大きな役割を果たします
再生可能エネルギーの活用はSDGsではGoal7:「エネルギーをみんなにそしてクリーン」の課題ではありますが、その他にもGoal1の「貧困をなくそう」Goal2の「飢餓をなくそう」Goal11「住み続けられるまちづくりを」Goal13「気候変動に具体的な対策を」などにも直結した課題になります。
再生可能エネルギーを利用して限りなく小さなコストで電気を生み出せば、地球温暖化を食い止め、飲み水は食べ物を安く作り、熱さ寒さから身を守るなどして問題を解決でkりう突破口が見えてくる。皆さんも知恵と工夫を凝らして、エネルギーフリー社会の実現に向けて挑戦を続けてほしい。
未来をつくる仕事がここにある 再生可能エネルギー図鑑
この冬の私たちにできること
・暖房器具をかけっぱなしにしなくていいようにカラダの中から温活に励む
・消費電力の低い電化製品へのチェンジを検討する
・再生可能エネルギー関連の書籍を読んでみる
・そもそもモノを買いすぎない
・捨てもせず、使いもしないモノを持たない
・自分が楽しく、自分をフルに活かせる環境に身を置く
・片づけレッスンを受けてみる
Your Choice, Make New World
シロクマ